ケダモノ、148円ナリ

 



「おい、明日実」

 まさか本当に全裸で歩くわけにもいかないので、貴継は不本意ながらも、顕人のパジャマを着ていた。

「明日実」
と明日実の部屋をノックしたが返事はない。

 俺の部屋に三つ指ついて待ってるような女じゃないしな。

 寝てんだろうな、と思いながら、ドアを開けると、案の定、明日実は寝ていた。

 しかも、爆睡だ。

 警戒心なさすぎだな。

 本当に顕人が鍵を持っていて、知らない間に寝顔を覗いていても、こいつ、気づかないだろうな、と思う。

 廊下の灯りが、机の上に置かれたあの指輪の箱をちょうど明るく照らしていた。

 ……ふん。

「莫迦だな、この女」

 まあ、ケダモノを148円で買おうとするくらいだからな、と思いながら、中に入ると、明日実の布団をかけ直してやる。

「……おやすみ」

 おやすみか。

 身内以外の女に言うのは初めてだな、と思いながら、ぱたん、と扉を閉めた。