結局、なんだったんだ、と思いながら、二人から解放された明日実が洗面所で顔を洗っていると、後ろに誰か立っていた。
ひっ、と振り返ると、顕人だった。
「……明日実。
急に、おかしなことを言い出してすまない」
と顕人は言ってきた。
少しいつもの彼に戻った気がする。
「だが、本気で考えてみてくれ。
お前が妹だと言っているのは俺の父親の妄想かもしれないし」
いや……なんだかあの、顔も背格好も似ているのですが。
それに、おじさまの妄想だとするなら、それはそれで悲しすぎるな、と思っていた。
かと言って、母親に確認してみるだけの勇気もない。
当たり前だが、触れてはいけないことのような気がするし。
触れたら最後のような気もするし――。
そのとき、後ろから顕人の首にネクタイを引っ掛け、引っ張ったものが居た。
「来いっ、顕人」
ぐはっ、と首を押さえ、洗面所から引きずり出された顕人は貴継に腕をつかまれる。



