ケダモノ、148円ナリ

 




 結局、なんだったんだ、と思いながら、二人から解放された明日実が洗面所で顔を洗っていると、後ろに誰か立っていた。

 ひっ、と振り返ると、顕人だった。

「……明日実。
 急に、おかしなことを言い出してすまない」
と顕人は言ってきた。

 少しいつもの彼に戻った気がする。

「だが、本気で考えてみてくれ。
 お前が妹だと言っているのは俺の父親の妄想かもしれないし」

 いや……なんだかあの、顔も背格好も似ているのですが。

 それに、おじさまの妄想だとするなら、それはそれで悲しすぎるな、と思っていた。

 かと言って、母親に確認してみるだけの勇気もない。

 当たり前だが、触れてはいけないことのような気がするし。

 触れたら最後のような気もするし――。

 そのとき、後ろから顕人の首にネクタイを引っ掛け、引っ張ったものが居た。

「来いっ、顕人」

 ぐはっ、と首を押さえ、洗面所から引きずり出された顕人は貴継に腕をつかまれる。