ケダモノ、148円ナリ

「なに勝手に私の名前を命名してるんですかっ」
と言いながら、やっぱりこの人やさしいなとは思っていた。

 今日、傷ついている顕人を叩き出す気も、動揺している自分を手篭めにする気もないようだ。

 その甘さが命取りにならないといいんだが、と仕事の心配をしながらも、とりあえず、反抗すべきところは反抗しておく。

「適当なこと言わないでくださいっ。
 私の名前は、明日、実がなるようにで、明日実ですっ」

 顕人が居るのに、貴継はベッドで片膝をつき、手首をつかんできた。

「なにが明日、実がなるようにだ。
 何故、今日ならんっ」

 ま、まあ、それは確かに。

 何故なのですか、おかあさま、おとうさま、と思っていると、顕人が、
「その名前は俺の父親が考えて、お前の母親がつけたんだ」
と言い出す。

 だから、そんな爆弾発言は今いりませんから、おにいさま~っ、と思っている前で、貴継はなおも言い募る。

「なにが明日実だっ。

 俺と結婚しない限り、明日もあさっても実はならないっ。
 お前の人生に俺という花が咲かないからだっ!」

 待ってください。
 何故、貴方が花になるのですか。

 私が花ではないのですか。