ケダモノ、148円ナリ

「よく考えたら、親の代の不始末を俺たちが背負うことはない。
 明日実は俺の従妹だ。
 そう思って生きてきたんだ。

 鏡花も言っていた。
 そんなことで怯むことはないと」

 ひーっ。
 鏡花さんーっ。

「明日実、結婚してくれ」
といつ取って来たのか、部屋に置きっぱなしになっていた指輪の箱を開け、顕人は明日実に向かい、突き出してきた。

「結婚してくれっ、明日実。
 この指輪はほんとは俺の年収と同じ金額だっ」

 お、おにいさまの年収って幾らですかっ。

 千万単位だった気がするが。

 だが、貴継はその手を払って言った。

「帰れ、顕人。
 それか明日実の部屋で……いや、明日実のベッドは貸さん。

 ソファでおとなしく寝ろ。

 俺は、明日実も会社も手に入れる。

 貴継の継ぐは、会社を継ぐために祖父が入れた字だっ」

 こちらを見下ろし、
「そして、明日実の明日は、明日、俺の花嫁になるようにだ」
と言ってきた。

「今日はお前に邪魔されそうだからな」