ケダモノ、148円ナリ

「幾つもその話には間違いがあるな。
 俺はたいした実績もないことはないし、社長は俺に甘いんじゃなくて。

 うちの父親を追い出したときに、法律すれすれの際どいことを幾つもやってるのを知って、脅しただけだ。

 あの社長のことだ。
 部下をかばって、自分が矢面に立つだろうからな」
と笑う。

 おにいさま、この人、真っ黒です……。

 こっちが完全に悪役だ、と思いながら、貴継の腕をつかむ。

 そうか。
 それで、この間からバタバタしていたのかと気づいた。

 そういえば、役員とも何人かずつ、個別に会食しているようだ。

 貴継が専務になり、いずれ会社を奪還するのなら、ゴマをするべきだ、と考える派閥と、徹底的に反発しようとする派閥とがあるのだろう。

 役員の中にも株主の中にも。

 そもそも、クーデターというものに難色を示していた一派も居るようだ、と会社に居るうちに気づいたことだし。