「それで?」
「……破談にするかと訊いたら、そんな体裁の悪いこと出来るはずがないから、結婚して、二、三年は一緒に居てもらうって言われた」
「そうか。
よかったじゃないか。
一緒に暮らしているうちに情も湧いて、なし崩し的にそのまま夫婦で居るさ。
おやすみ。
俺たちは今、いいところなんだ。
帰れ。
残るなら、明日実の部屋を使え」
いや……いいところどころか、悪いところですよ、と思いながら、明日実は貴継の陰からそうっと顕人を窺っていた。
「お前、専務になるそうだな」
振り向いた顕人がいきなりそんなことを貴継に向かって言い出す。
「えっ」
「なんでお前が知っている?」
「いや、お前の会社の役員が、うちの父親、つまり明日実の父親でもあるんだが――」
今、どさくさ紛れにそんな告白はいりませんから、と思っていた。
「父親を訪ねてきて、大層な文句を言っていたぞ。
社長はお前に甘すぎると。
一度は追い出した創業者一族の息子をたいした実績もないのに、いきなり専務にするとか」
「……破談にするかと訊いたら、そんな体裁の悪いこと出来るはずがないから、結婚して、二、三年は一緒に居てもらうって言われた」
「そうか。
よかったじゃないか。
一緒に暮らしているうちに情も湧いて、なし崩し的にそのまま夫婦で居るさ。
おやすみ。
俺たちは今、いいところなんだ。
帰れ。
残るなら、明日実の部屋を使え」
いや……いいところどころか、悪いところですよ、と思いながら、明日実は貴継の陰からそうっと顕人を窺っていた。
「お前、専務になるそうだな」
振り向いた顕人がいきなりそんなことを貴継に向かって言い出す。
「えっ」
「なんでお前が知っている?」
「いや、お前の会社の役員が、うちの父親、つまり明日実の父親でもあるんだが――」
今、どさくさ紛れにそんな告白はいりませんから、と思っていた。
「父親を訪ねてきて、大層な文句を言っていたぞ。
社長はお前に甘すぎると。
一度は追い出した創業者一族の息子をたいした実績もないのに、いきなり専務にするとか」



