ケダモノ、148円ナリ

 



「本当に朝ご飯、食べていかなくていいの?」

 鏡花が欠伸をしながらお見送りをしてくれた。

「いや、間に合わなくなるから。
 明日実、お前はまだ、ゆっくりしてってもいいんだぞ」

 外はまだ暗い。
 貴継は明日実を見下ろし、そう言ってくる。

「いえ。
 お見送りしたいので」
と言うと、そうか、と言う貴継はちょっと嬉しそうだった。

 では、お邪魔しました、と頭を下げ、玄関を出ようとすると、
「ちょっと」
と鏡花に腕をつかまれ、引き寄せられた。

「夕べ、どうなったの?」
と小声で訊いてくる。

「え。
 どうって……」

「えーっ。
 まさか、なんにもなしっ?

 わざわざ離れた部屋にしてあげたのにっ」
と文句を言ってくる。

「全然、ケダモノじゃないじゃない、この人っ」
と指差し言う鏡花を、なんの文句を言ってるんだ、という顔をして、もう外に出ている貴継が振り返っていた。