ケダモノ、148円ナリ

「どさくざ紛れにおにいさまを悪く言わないでください」

「悪くは言っていない。
 お前と一緒で間が抜けていて、なんだか憎めないという話だ」

 恋敵なのにな、と呟いていた。

 貴継は明日実の頭をぽんぽんと叩きながら言ってくる。

「いい加減、諦めろ、明日実。
 お前は俺が好きなんだ」

「そんな自信満々に言うような人は嫌いです」
と明日実は貴継を見ないまま言った。

「じゃあ、顕人みたいに勝手に鍵を開けて入って、寝てるお前をひっそり見つめてるような男がいいのか」

「……それ、貴方の妄想ですよね?」

「妄想だ」

 だが、やりかねん、と貴継は言う。

「第一、お前は顕人の指輪はしないが、俺のやった指輪はなんだかんだで外さないじゃないか」

「イ、イルカが可愛いからって言ったじゃないですか」
と言いながら、貴継の側からじりじりと座る場所をずらして逃げていく。

「……ほんとにお前は往生際が悪いな」