立派でないうえに女癖の悪い人が、なにか言っている、と明日実は貴継の腕をつかみ、見上げていた。
「俺に居て欲しいか」
と勝ち誇ったように言ってくるので、カチンと来て、顔をそらした。
「別にいいです。
どっちでも」
「じゃあ、手を離せ」
「嫌です」
「じゃあ、行っていいか」
「嫌です。
貴継さんなんて、フラれるに決まってます」
と言いながら、その腕をつかんでいた。
貴継は少し笑い、側に腰を下ろしてくる。
視線をそらした自分に囁いてくる。
「さっきの話、聞いてたんだろう」
「小人さんと狼さんと聞いてました」
振り向かないまま言うと、だからなんなんだそれは、と言いながら、貴継は昨日の夜のように頭を撫でてくる。
「莫迦だな。
あの人と俺の物の考え方がちょっと似てると言っただけだ。
人は自分と同じものは好きならない」
だが、そこで少し考え、言い出した。
「顕人はなんでお前なんだろうな?」
どっちも間が抜けている気がするが、と。



