ケダモノ、148円ナリ

「へー、悪い夢なのか、それ」
と笑ったが、明日実はなにを笑われているのかわからないようで、

「だって、今、誰かと楽しそうに話してたじゃないですかっ」
と必死に訴えてくる。

「あっ、あれって、鏡花さんですかっ?」

 もしかしてっ、と言う明日実に、
「そうかもな」
と答える。

 莫迦だな、お前の話だから盛り上がってただけだ、と笑いを堪えていたが、少しは寂しがらせろ、という鏡花の教えに従い、言わなかった。

「もう~っ。
 降りてください。
 私の上から~っ」

「わざわざ名古屋から飛んできて、また朝一で帰る俺に、その態度は酷いんじゃないのか?」

「じゃあ、さっさと寝てくださいっ」

「此処、ベッドはひとつしかないが、一緒に寝ていいのか?」

「そっから先が貴継さんの陣地ですっ」
と明日実は身体の大きさを考えてか、3分の2をこちらの陣地にしてくれる。

 しかし、陣地って、子どもか、と貴継は笑った。