「……あんた、知ってんのか」
明日実は頭の上で、貴継の声がするのを聞いていた。
「顕人が……」
いや、なんでもない、と貴継は言った。
女の笑い声が聞こえる。
「知ってるわよ。
そっくりじゃないの。
あら?
まさか、そんなことで怯んでたの? 顕人は。
どうせ、戸籍上は他人じゃない」
「あんた俺と似てるな」
どうしよう。
貴継さんが誰か女の方と好意的な感じで会話しています。
誰か……
聞き覚えのある声なのに、なんだか動転していてわからない~っ。
ぼんやり聞こえてくる二人の会話に、明日実は夢を見つつ、うなされていた。
またあのダンジョンでIDカードをつけた小人と狼と居たのだが。
上からもれ聞こえてくる声が気になって、ずっとそちらばかり向いていたので、後ろから小人にハリセンで叩かれた。
手作りのハリセンのようだ。
結構痛い。



