ケダモノ、148円ナリ

 



 結局、リビングで三人が酒を呑んだ。

「で、どういう馴れ初めで一緒になったわけ」
と貴継に訊く鏡花に、横から明日実は、

「まだなってません」
と往生際悪く言う。

「その人はただのケダモノですっ」

「おい、ケダモノ女、芸をやれ」

 いや、ケダモノなのは、私ではないのですが、と思いながら、逆らうのもめんどくさいので、明日実は、お財布から、30円を取り出した。

「この10円玉が今から、3枚になります。
 はいっ」
とやってみせる。

「お前……既に最初から3枚あるが。
 っていうか、値段下がってるじゃないか」

 既に酔ってるな、と言われてしまう。

 なんでだろうな、と思っていた。

 たいして呑んではいないのに、お酒が回って来た。

 なんだか、ほっとしたからだろうか。

 貴継さんの声を聞いて。
 姿を見て。

 明日実は側に座る貴継の腕に額をぶつける。

 ……貴継さんの熱を感じて。

「あら、明日実、もう寝たの?
 面白くないわ」
という鏡花の声が聞こえてきた。