ケダモノ、148円ナリ

 あっ。
 もしかして、さっきの電話っ。

 鏡花の携帯にかけて、この住所を聞き出したのに違いない。

 自分にかけたのでは、来ないでくださいーっ、と言われるだろうと読んで。

 さては、私の携帯を見たときに、鏡花さんの番号を覚えてたんですねっ、と思ったとき、

「明日実、あんたやっぱり面食いねえ」
と言いながら、鏡花が貴継を連れて戻ってきた。

「た、貴継さん出張はっ?」

 大きな貴継を前に、少し跳ねるようにして、早口に訊いてしまう。

 心配になったからだ。

「いや、明日の会議に間に合うように戻るが。
 お前が此処に居るというから心配で」

「なんでですか」

「顕人が来るかもしれんだろ」

 確かに、と鏡花は笑っている。

「まあ、ゆっくりしていきなさいよ。
 明日実を連れ出さなくても、あんたも此処に泊まればいいじゃないの」

「いや、そんな迷惑をかけるわけには」

「ひとりも二人も一緒よ。
 まあ、呑みなさい。

 その代わり、最後まで、私の酒に付き合うのよ」

「たっ、貴継さんっ。
 殺されますっ」
と明日実は貴継の上着をつかむ。