ケダモノ、148円ナリ

「ふーん。
 いい男なんだ?」
とこちらを見た鏡花が、淡々と言ってきた。

「ええっ?
 なんでですか?」
と言ったが、いや、別に、と言う。

 そのとき、玄関のチャイムが鳴った。

 はいはい、と鏡花が立ち上がる。

 グラスを手にしたまま、玄関の方を振り返りながら、
「誰でしょうね、こんな時間に」
と言うと、

「さあ、顕人かしらね」
と言いながら、鏡花は玄関を開けに行く。

「こんばんは。
 夜分遅くにすみません」
という声が聞こえてきた。

 ……聞き違い……

 な、訳は無いっ!

 何故だかわからないが、自分が貴継の声を聞き違えるわけはないと思った。

「貴継さんっ」
と廊下に駆け出すと、玄関先で鏡花が、貴継を前に、

「あら、ほんとにいい男。

 大丈夫?
 迷わなかった?」
と訊いている。