ようやく一日目の会議が終わり、笹原が行きたいという人気の店の列に並ばされた貴継は、明日実に電話をしていた。
だが、何度かけても出ない。
「もうやめなよ。
まるでストーカーだよ。
僕が女ならドン引きだよ」
そう横で笹原は言ってくるが。
「いや、お前が女なら、そもそもかけない」
と言いながら、もう一度だけかけてみようと、と思ってかけた。
だが、出ない。
そのうち、順番が来て、店に入り、貴継たちは、カウンター席に座った。
「美味しいね、味噌カツ。
夜は、お前の言う通り、味噌カツにしてよかったよ。
……貴継?」
「そうだな」
「あのー、さすがの人気店の人も不安になるくらい渋い顔するのやめて」
カウンターだよ? と言われる。
何故、客が店の人間の機嫌を窺わねばならんのだ、と思ったが、確かに、目の前の店主が、
ま、……まずいですか?
と言いたげな、不安そうな顔でこちらを見ている。



