ケダモノ、148円ナリ

「と、特に居ませんが……」
と言うと、

「え?
 そうなの?」
と栗原がこちらを振り向いた。

「いや、全然、浮ついたところがないから、学生時代から決まった相手とか居るのかと思ってた」

「そういや、薬指に指輪やってるじゃん」
と先輩が明日実の手を見て指摘する。

「いえ。
 これは単に、寝てる間に、薬指に、はめ直されてただけで」

 うっかり、そう言ってしまい、へー……と呆れ顔で見られた。

「えっ?
 私、今、なにか変なこと言いました?」

「言いました。
 やっぱり彼氏居るんじゃん」

 あっ、そうか。
 今のおかしな意味に聞こえるな、と気づき、

「違うんですっ。
 単に……」

 単に一緒に住んでるだけですっ。

と言い訳しようとして、いや、これだとドツボだな、とさすがの明日実も気がついた。