ケダモノ、148円ナリ

 




 定時に仕事が終わった明日実が玄関ロビーまで降りてきたとき、
「お疲れー」
とちょうど先輩について外回りに出ていたらしい栗原が帰ってきた。

「お疲れさまです。
 お疲れさま、栗原くん」
と先輩と栗原に頭を下げる。

「お疲れさま。
 人事の佐野さんだっけ?」
とその大和ではない営業の先輩に挨拶された。

「はい。
 人事部付ですけど」

 はは、と苦笑いして言いながら、貴継の言葉を思い出していた。

『近いうちにいろいろあるんだ。
 そのために、お前を人事部付にしたんだ』

 いろいろってなにーっ?
と今、改めて、空恐ろしく思っている明日実の目の前で、その先輩が、

「おい、栗原。
 お前の同期は美女ぞろいだな」

 今度、同期会呼んでくれ、と無茶を言っている。

「他は知らないですけど。
 佐野さんは決まった相手が居るっぽいですよ」
といなきり、栗原が言い出し、ええっ? と明日実は彼を見た。