ケダモノ、148円ナリ

 頼むぞ。
 誰かが無断で家に入り込んだりしないように。

 顕人とか顕人とか、顕人とか……。

 ……と聞こえてくる気がするのは、気のせいだろうか。

 三人で、というか、ほぼ、貴継と管理人のおじいさんで話しているうちに、呼んでいたタクシーが来た。

 今日は車は置いて出るので、駅までタクシーだ。

「そうですか。

 じゃあ、普段はこちらには。
 まあ、大丈夫ですよ、二台分くらいは空きがありますから」
となにやら貴継と話していた管理人さんが、

「おお、タクシーが来ましたね。
 お気をつけて」
と玄関前を振り向く。

 いってらっしゃい、と管理人さんに見送られ、明日実はタクシーの中から、ぺこりと頭を下げた。

 貴継も横で頭を下げている。

 うう、なんか。
 ご主人っぽいな、っていうか、夫婦っぽいな、こういうの。

 だが、駅までの短い時間、ちょっと考えていた。

 夕べ無理強いせず、ヨシヨシしてくれた貴継は嫌いではなかったな、と。