ケダモノ、148円ナリ

 



「お前、昨日はよく眠れただろう」

 起きた瞬間、貴継の顔が目の前にあって、びくっとしてしまった明日実に、貴継はそう訊いてくる。

 やっぱり、ちょっと不機嫌そうだった。

 はは、と苦笑いした明日実は、
「すみません。
 ありがとうございます」
とまた謝り、礼を言ったあとで、だから何故、私が謝らなければならんのだ、と思っていた。

 貴継はベッドから出るなり、
「俺は寝られなかった。
 ペコペコ詫びろ」
と言ってくる。

「す、すみません。
 出張なのに」
とそこは素直にペコペコ詫びると、

「いい。
 新幹線で寝るから」
と言いながら、出て行こうとした貴継はドアのところで振り返る。

「夕べ入りそびれたから、今から風呂に入ってくる。
 お前は荷物でもまとめてろ」

「えーっ」

 ほんとに今日、家に居ちゃいけないのか、と思っていると、
「じゃあ、支度せずに暇なら、背中を流せ」
と言われたので、

「いっ、今から支度しまーすっ」
と慌てて、自室に逃げ込んだ。