ケダモノ、148円ナリ

 大丈夫だ。
 痛くも痒くもないっ、と言ってくるが、
「絶対嘘ですーっ」
と泣くと、

「嘘だ」
とあっさり貴継は認めた。

 やっぱりか、この人殺しーっ、と思っていると、貴継は上に乗ったまま、頭を撫でてきた。

 きつく目を閉じ、胸の前で、腕を十字に組み合わせ、アンモナイトのように丸くなって、防御姿勢をとっていた明日実だったが。

 ちょっとだけ目を開けてみた。

 明日実の上から降りた貴継がすぐ側に横になり、溜息をついて言う。

「まあ……そういう性格だから、今までなにもなく来たんだろうな」

「す、すみません」
とまだ防御姿勢を取ったまま言うと、

「しょうがない。
 ゆっくり行こう。

 今日はヨシヨシしてやる」
と言って、頭を撫でてくれた。

「今日は抱っこでヨシヨシだ」
と言いながら、明日実の顔を自分の胸に押しつけるように抱き、上から布団をかけてくれる。

 貴継はまだスーツを着たままだった。

 なんか……職場で抱き締められてるみたいで、ちょっとドキドキするな、と思いながら、その服の匂いを嗅いでいた。