ケダモノ、148円ナリ

「ともかく、お前が男と居たら、俺は死ぬから、浮気はするな」
とよくわからないことを言ってくる。

「するわけないじゃないですか」
とあっさり言ってしまったあとで、

「あっ、えーと。
 浮気とか私はしないって意味で、あの。

 貴方以外の男の方は相手にしないって意味ではっ」
と慌てて付け足したが、遅かった。

 そうかそうか、と調子に乗って、腰が引っ付かんばかりに真横に座ってくる。

「逃げるなよ。
 今日はするぞ」

「な、なにをですか」

「ふざけるなよ。
 今日こそは、俺の相手をしてもらうぞ」
と手首をつかんできた。

「なんでですか」
「出張だからだ」

「……話が見えませんが」

「しばらく離れてるのに、なにもないまま別れるなんて、寂しいだろう?」

「誰がですか?」
「お前がだ」

 いや、別に寂しくありませんが。

「一晩離れてるんだぞ。
 俺が浮気をしてもいいのか」

「いやあの、……出張するたび、浮気する人とか勘弁なんですが」