ケダモノ、148円ナリ

「いや、落ち着いてください。
 なにが来るって言うんですか」
と言うと、

「顕人に決まってるだろうが。
 俺が居ないのを何処かから聞きつけて。

 いや、お前は莫迦だから、
『今、貴継さんは名古屋ですー』
とか平気で言うんだろう」
と微妙にけなしてくる。

「あのー。
 そもそも、おにいさまが来たらいけないのですか?」

「いけないに決まってるだろうが、このカマトトがっ。
 あいつ、いつ、結婚して海外行くんだ?
 まだなのか?」
とイライラと訊いてくる。

「月末のはずですが」

「顕人はこの家の鍵を持ってるんだぞ」

「お持ちかもしれませんね」

「落ち着くな。
 今すぐ、此処を出て行けっ」

「だから、此処、誰の家なんですか……」
と言ったが、訊いてはいない。

「そうだ、お前。
 日奈子のところにでも行くか」

「えーと、確か、貴継さんのおねえさまですよね。
 あのゴージャスな」
と遠目にぼんやり見た日奈子の姿を思い浮かべる。