ケダモノ、148円ナリ

「お前の言うことにも一理ある。
 だが、俺はもう立ち止まれない」

「えっ」

「この件に関しては、もう、お前も口を出すな」

 そう言いながら、貴継は、ぽんぽん、と明日実の頭を叩いた。

 小さな子に言い聞かすように。

 そのとき、エレベーターが開いて、誰か降りてきた。

 まずい、と思ったが、黒崎部長だった。

「なんだ」

「なんだ。
 黒崎部長じゃないですか」
と思わず、二人で言ってしまうと、

「なんだって、なんだ。
 私だったらいいと言うわけじゃないぞ」

 社内でいちゃつくな、と顔をしかめて言ってくる。

 貴継は、そのまま、エレベーターに乗っていってしまった。

 それを何故か一緒に見送った黒崎は溜息をついて言ってきた。

「あれな、止めた方がいいぞ」

「えっ」