いつものように仕事をしながら、明日実は貴継を窺う。
昨日の話が気になっていたからだ。
貴継は、此処まで来たのに、やめられるか、という感じだったが。
なにが何処まで来たんだ、と思いながら、ときどきパソコンの画面から視線を貴継にスライドさせていた。
男性社員が貴継のところになにか相談に行き、それに貴継が的確に答えている。
頷きながら聞いている男性社員は、溢れんばかりの尊敬の眼差しを貴継に向けていた。
いや、確かに、会社では、颯爽としてるんだよなー。
……家ではただのケダモノだけど、とその嘘くさいくらい爽やかな笑顔を眺めていると、
「天野部長」
と部署の入り口から社長が呼ぶ。
む? と明日実はそちらを注視した。
二人はなにか話しているようだった。
貴継は淡々とそれを聞いている。
気になる。
……めちゃめちゃ気になるっ!
だが、今、問い詰めに行くわけにもな、と思いながら、眺めていると、
「あずみん」
と声がした。



