ケダモノ、148円ナリ






 明日実に怒鳴られ、貴継は明日実の部屋に引き上げた。

 本当はそんなに怒っていたわけではなかったのだが、引っ込みがつかなかったから、そういうポーズをとっただけだった。

 だって……

 莫迦じゃないのか? あいつ。

『私、いつも暇なとき、貴方を見てるんです』

『仕事が上手くいかなくなって、家で膝を抱えている貴継さんなんて見たくないですから』

『私は、一目見たとき、貴方のことがわかりましたよ』

『顔だけですよっ。
 見た目だけですっ』

 あいつ、自分がなにを言ってるか、わかっているのか、と吹き出しそうになるが、明日実に聞こえてはまずいと、なんとか堪えた。

 どれも、随分と、熱烈な愛の告白なんだが、と今閉めたばかりのドアを振り返る。

 だが、今日は放っておいてやろう。

 きっと今頃、言い過ぎたと、俺への罪悪感に身悶えしていることだろう。

 明日、落としやすくなる。
 仕事の根回しと一緒だ、と思ったときに気がついた。