明日実に怒鳴られ、貴継は明日実の部屋に引き上げた。
本当はそんなに怒っていたわけではなかったのだが、引っ込みがつかなかったから、そういうポーズをとっただけだった。
だって……
莫迦じゃないのか? あいつ。
『私、いつも暇なとき、貴方を見てるんです』
『仕事が上手くいかなくなって、家で膝を抱えている貴継さんなんて見たくないですから』
『私は、一目見たとき、貴方のことがわかりましたよ』
『顔だけですよっ。
見た目だけですっ』
あいつ、自分がなにを言ってるか、わかっているのか、と吹き出しそうになるが、明日実に聞こえてはまずいと、なんとか堪えた。
どれも、随分と、熱烈な愛の告白なんだが、と今閉めたばかりのドアを振り返る。
だが、今日は放っておいてやろう。
きっと今頃、言い過ぎたと、俺への罪悪感に身悶えしていることだろう。
明日、落としやすくなる。
仕事の根回しと一緒だ、と思ったときに気がついた。



