ケダモノ、148円ナリ

「いや、あの……ご自分で勝手について来られたんですよね?」
と反論してみたが、大きながっちりした手で顎をつかまれ、動けない。

「なんで家がないんですか。
 お金はあるんでしょ?

 ホテルにでも泊まられたらどうですか?」
と必死に訴えかけてみる。

 ホテルか、そうだな、と呟いた貴継は、
「途中で、鍵を持ってる顕人に入って来られても困るよな」
と言い出した。

 なんの途中だ?

「じゃあ、お前、一緒にホテルに泊まるか。
 知り合いのところで、言えば、すぐにいつも泊まる部屋を開けてもらえるところがある。

 最上階だ」

 だったら、ひとりで、そこに行けーっ!

「家もないのに、なんでそんなにお金持ってるんですかっ」
ともっともなことを訊いてみたのだが、貴継は人の上に乗ったまま、ふむ、と考え、

「なんでだと思う?」
と訊いてくる。

「な……、なんか凄い仕事してるとか」
と曖昧に答えると、

「……なんだ。
 なんか凄い仕事って」
と案の定、突っ込まれた。