ケダモノ、148円ナリ

「言いたいだけ言ってくれたな。
 お前のような、下僕の言うことは聞かんっ」
と貴継は、振りほどかないまま絡ませていた左手の指に力を入れた。

 いたたたたたっ、と明日実は顔をしかめる。

「俺は、お前も会社も手に入れる!」
と言いながら、口づけてくるので、離れた貴継に言った。

「わかりました。
 貴方が私にこだわる理由がっ。

 私が、おにいさまが決して自分を振り向かないと知っているので、おにいさまを好きだったと言うのなら。

 貴方は、私が貴方を振り向かないと知っているから、手に入れたいだけなんですよっ。

 今のままでは、決して手に入らない会社と社員を欲しがるみたいにっ」

 痛いですってばっ、離してくださいっ、と言うと、
「莫迦なことを言うなっ。
 お前が俺を振り向かないなんて想定外だっ」
と言い返される。

「だいたい、そんなことわかるわけないだろう。
 そんな、ほよーっとした顔して、此処まで意志が強いとかっ。

 それに言わなかったか。
 一目惚れだっ。

 そんな先のことまで考えて惚れられるかっ!」