ケダモノ、148円ナリ

「わかりません」
「わかりません?」

「わかりませんけど、貴方が凄く迷ってるのはわかります。

 そうか。
 わかりました。

 それで、情緒不安定になって、珍妙な行動を取ったり、私にご無体な行動を取ったりしてたんですね?」

「いや、そこのところは、恐らく、いつも通りだが」

 どさくさに紛れて失礼なことを言う奴だ、という顔をする。

「なんだかわかりませんが、引き返しましょう、貴継さんっ」
と明日実は強く貴継の腕をつかんだ。

「……いやだ」

「なんでですか」

「今、やめたら、なんのために、この会社に入って。
 自分たちを追い出した奴らの許で、あんなアリみたいにあくせく働いてきたかわからないからだ」

「なんのために働いてきたかわからないって。
 好きだからですよ」

 貴継の表情が止まった。

「貴方があんなに馬車馬みたいに働いてるのは、働くのが好きだからですよ。

 そして、今の会社が好きだからです。
 ボンクラな社長を一致団結して追い出したあとの、あの会社が」

 おい……という顔を貴継はした。