ケダモノ、148円ナリ

「心配することはない。

 大丈夫だ。
 お前が好きなのは、俺だ」

 手首を押さえていた手を緩め、そっと指先を絡ませてくる貴継に、

「なんでいつもそう、自信満々なんですか」
といっそ、感心して訊いてみる。

「……自信満々にしてないと、不安になるからだよ。
 俺が間違ってるんじゃないかと」

 え?

 意外な言葉だった。

 だが、そのとき、確かに貴継の目に不安がよぎったし、なんだかそれは、自分とのことだけを言っているのではない気がした。

「間違ってると思っているのなら、引き返したらどうですか?」

 明日実は貴継の目を見つめて言った。

 なにか彼の中に不安定な部分があるのに気づき始めていたからだ。

 この人、なにを迷っているんだろう、と思う。

「今からでも遅くありません。
 引き返しましょう」

 貴継の腕に触れ、そう言うと、貴継は、
「……お前、なんのことを言ってるんだ」
と訊いてくる。