ケダモノ、148円ナリ

「当たり前だ。
 その100円は俺の所有物。

 お前はまだ俺の所有物じゃない。

 お前が俺のものになるのなら、その100円玉はやってもいい」

「……待ってください。
 それだと、私の価値が、100円、ということになりませんか?」

「違うだろ。
 お前が俺のものなら、同じく俺のものである100円玉をお前が好きにしていいという話だ」

 さあ、その100円はやるから、こっちへ来い、と言い出す。

「いや、ちょっと……

 やっぱり話がっ」
と言っている間に、腕を引っ張られ、肝心の100円玉は何処かへ転がっていってしまう。

 ソファに寝かされ、気がついたら、貴継は自分の上に居る。

 やっぱり駄目だ、この人。
 手が早すぎるっ。

「おっ、おにいさまに、あれは嘘でしたって電話して謝りますっ。
 だから、離してくださいーっ」

「いやいやいや。
 それでおにいさまとの話は済んでも、俺との契約は終わらないだろ。

 お前、わざわざこの俺に此処までご足労いただいて、タダで帰すとか言わないよな?」
と動けないよう、片手で顎をホールドしてくる。

 頭の上は肘掛で、これ以上、逃げようがない。