ケダモノ、148円ナリ

「私、あんまり日本酒は……」

「日本酒嫌いという奴は、何処かで安酒を呑まされた奴だけだ」

 俺も昔は嫌いだった、と語り出す。

「だが、酒蔵に行って、酒を吞んだとき、びっくりしたんだ。
 日本酒というのが、こんなに美味いものだったのかと」

 という訳で呑め、と注がれ、はあ、といただく。

 今の講釈のあとでは、とてもじゃないが、断れそうにはなかったからだ。

 だが、一口呑んだ明日実は思わず、声に出していた。

「美味しい」

 よく、日本酒を呑んで、まろやかですね、と繰り返すレポーターを見て、まろやかってどんな感じなんだろうな。

 他に表現ないのかな。
 イメージしづらいんだが、と思っていたのだが、いや、まろやかだ。

 他に言葉はいらない。

「美味しいです」
と繰り返しながら、いや、まろやかより、もっと悪いな、と思っていた。

 ただ、美味しいとしか言葉が出て来ない。

「スーパーに置いてあったのに」