「さあ、食べろ、明日実」
と貴継はソファでテレビを見ていた明日実の前に寿司を並べてきた。
……が、何故、すべて炙り。
炙りサーモンに、炙り穴子に、炙り海老マヨネーズに、炙りイベリコ豚。
鯛に、たらこまであるな。
しかも、レモンやわさびが美しく盛られていて、芸が細かい。
「美味しいか?」
「美味しいです。
っていうか、お疲れで帰ってらしたのに、お寿司まで握っていただいてすみません」
いや、と貴継は鷹揚に頷く。
「スーパーも楽しかったし、いいだろう」
さあ、たっぷり食べろ、と笑う貴継がなにか企んでいるようで、ちょっと怖い。
「酒も買ったしな」
「最近はスーパーにもいいお酒、あるんですね」
と貴継がテーブルに置いた白い紙に包まれた瓶を見ながら言った。
明日実はあまり詳しくはないが、この酒の名前は知っている。
確か父が呑んでいた。
「よし、呑め。
寿司には日本酒だ」
ほら、と注がれる。



