ケダモノ、148円ナリ

 


 
 顕人が去ったあと、席に戻ろうとすると、明日実が書類を手にやってきた。

 ハンコをもらうのを口実に話しかけてくる。

「部長、なんでおにいさまが此処に」

「なにか仕事で大和のところに来たらしいぞ」
と言いながら、ちょうど、ポケットにあったハンコをついてやった。

 そうですか、と明日実は振り返っている。

「まだあいつのことが気になるのか」
と言うと、

「だって、おにいさまですから」
と言う。

「……あいつの結婚相手とか気になるか?」

「おにいさまの婚約者の方は、きっと美人でショートカットで、諸芸百般に優れていて、おほほほほって感じです」
と明日実は淡々と告げてくる。

「なんだ、それは……」

 私の想像です、と明日実は言った。

「妄想の中で、なんで、いつも、その方がショートヘアなのか考えてみました。

 きっと、私がロングだからです。

 おにいさまは私とは正反対の方がお好みなのだろうと思って」

 いや、ど真ん中ストレートにお前がお好みのようなんだが、と思ったが、もちろん言わなかった。