ケダモノ、148円ナリ

 


 なんとなく怖い男だ、稲本顕人、と貴継は思っていた。

 とりあえず、明日実を見る目つきが怖い……。

 よくこれで今まで明日実は気づかなかったな、と思う。

 まあ、鈍いからな。

 就職試験を受けに此処に来たときも、俺が今の顕人みたいに、ストーカーのように物陰から見ていたのにも気づかなかったようだし。

 そんなことを考えながら、
「お前、本当に明日実が好きなんだな」
と顕人に言うと、

「好きだ。
 でも無理だ。

 俺はあいつの兄なんだから」
と顕人は言う。

「それ、伏せといていいか」
と言うと、

「だから、最初に伏せとけと言っただろ」
と睨まれた。

「そりゃ、伏せとくさ。
 問題なのは、お前が兄だってことじゃなくて、明日実を好きだってことだからな」

「いや……兄だってことの方が問題だろ。
 言えば、お前に有利だし」
と言われ、

「なんでだ」
と言うと、顕人は、なんでだって、なんでだ? という顔をした。