ケダモノ、148円ナリ

 はいっ、と素早くその2枚を動かす。

「どうです?
 3枚に見えるでしょうっ?」

 残像でなのかなんなのか。

 仕組みは忘れたが、100円玉は3枚あるように見える。

「見えるな」
「でしょうっ?」

「……で?」
と貴継は言ってきた。

 ふっ、と笑って、手を止めた明日実は言う。

「貴方も所詮、ただの人ですね。
 みんなと同じことしか言わないじゃないですか」

「いや……。
 お前のその芸を見て、他のセリフを思いつく奴が居たら、会ってみたいんだが」

 それ、止まれないじゃないか、と貴継は言う。

「店員に、300円ですー、と言って、素早く動かしながら渡すのか」

「だからマジックなんですってばっ。
 実用性を考えないでくださいよっ」
と言いながら、財布にお金を入れようとすると、

「待て。
 100円は俺のだ」
と手を出してくる。

「そんな服着て、あんな車乗って、今度カウンタックを買ってくるというわりには、せこいこと言いますね」