ケダモノ、148円ナリ

 



 ああ。
 明日実が楽しそうに仕事をしている。

 立派になって、と顕人は物陰から、隣りの席のおじさんと笑い合いながら、スタンプを押している明日実を見ていた。

 素直で明るい明日実は職場でも可愛がられているようだ。

 よかった、と親のように安堵していると。
「なにをやっている、稲本顕人」
という声がした。

 振り向くと、貴継が立っている。

「……お前もなにやってるんだ、大和」
と顕人の後ろに立っている横田大和にも言っていた。

 どうやら友人のようだ。

「二人とも仕事しろ」

 いや、俺はお前の部下じゃないが、と思ってると、大和も同じことを言っていた。

「俺はお前の部下じゃないぞ」

「社員なら、会社のために働け。
 アリのように働け。
 死ぬまで働け。
 せっせと働け」

「……今、お前が社長じゃなくて本当によかったと思ってるよ」

 これなら、ボンクラの方がまだマシだ、と大和は文句を言っている。