ああ。
明日実が楽しそうに仕事をしている。
立派になって、と顕人は物陰から、隣りの席のおじさんと笑い合いながら、スタンプを押している明日実を見ていた。
素直で明るい明日実は職場でも可愛がられているようだ。
よかった、と親のように安堵していると。
「なにをやっている、稲本顕人」
という声がした。
振り向くと、貴継が立っている。
「……お前もなにやってるんだ、大和」
と顕人の後ろに立っている横田大和にも言っていた。
どうやら友人のようだ。
「二人とも仕事しろ」
いや、俺はお前の部下じゃないが、と思ってると、大和も同じことを言っていた。
「俺はお前の部下じゃないぞ」
「社員なら、会社のために働け。
アリのように働け。
死ぬまで働け。
せっせと働け」
「……今、お前が社長じゃなくて本当によかったと思ってるよ」
これなら、ボンクラの方がまだマシだ、と大和は文句を言っている。



