ケダモノ、148円ナリ

「いや、私が言い出したんですよ、貴継くん」
と社長の声がした。

 ふりむくと、一見、地蔵にも見える人の良さそうな社長が立っていた。

「すべての罪は私にあります。
 だから、君が私を追い落とすのなら、それもいいでしょう、と思って、君をこの会社に入れました」

 社長が去ったあと、
「心が広いですね~、社長」
と社長が消えた渡り廊下の方を見ながら明日実が呟くと、

「俺が狭いように聞こえるんだが」
と言ってくる。

「違いますか?」

「不愉快だ。
 今日は顔も見たくない」

「じゃあ、出てってください」

 あれは私の家ですが、と思いながら、そう言うと、
「なんでだ。
 今日こそ、あのベッドを使おうと思ったのに」
と訴えてくる。

「じゃあ、ベッド持って出てってください。
 私、分解しときます。
 実は得意なんです、そういうの」

「まあ、はたらく車が好きな女だからな」

「だからー、違いますってばー」

「お前と使おうと思って買ったのに」
と恨みがましく言ってくるので、

「私の顔も見たくないんじゃなかったんですか?」
と言ってやると、

「灯りは消すから大丈夫だ」
と言ってくる。

 えーと……。