ケダモノ、148円ナリ

 



 食後、みんなと話したあとで、職場に戻ろうとロビーを通っていると、誰か来ていたのか、さっきまで此処の喫茶でお茶を飲んでいたらしい貴継に手招きされる。

 側に行くと、
「黒崎となに楽しそうに話してた」
と訊かれる。

「え?
 社食にいらっしゃいました?」

 いや、廊下から見えた、と貴継は言う。

「ちゃんとお昼食べてらっしゃいますか?」
と明日実が眉をひそめると、

「客が来る前にトーストを食べた」
と言う。

 そんなので大丈夫かなあ、と思いながら、
「黒崎部長は、お父様はアシカを見る目があるとおっしゃってました」
と言うと、

「仕事は出来ないが、と言っていただろう」
と笑う。

「まあ、そう言い続けないと、社長のクーデターに手を貸した連中は胸が痛むだろうからな」

「そうだったんですか。
 黒崎部長も。

 っていうか、本当にクーデターだったんですか?
 社長は温厚そうな方ですが」

「あれは担ぎ出されただけかもしれないけどな」