ケダモノ、148円ナリ

 みんなで、早く食べて何処かへ出かけるのか、部下たちは食事を終え、部長に頭を下げては、忙しげに戻っていく。

 うう。
 あそこしかない。

 そして、ぼんやりしてると、すぐに他の人に取られそうだ。

 そのとき、同じくカレーを食べていた黒崎と目が合った。

「待ちなさい。
 すぐ食べ終わるから」
と言われてしまう。

「し、失礼します」

 離れた場所に行くのもな、と思い、明日実は黒崎部長の前にトレーを置いた。

「……ボンクラ家の嫁か」
と黒崎が溜息をついたので、つい、

「お父様はともかく、貴継さんはボンクラじゃないですっ」
と言ってしまって、はっとする。

「いえ、あの、お父様がボンクラだと言っているわけではないんですが」
と慌てて訂正したが、黒崎は、

「いいや、あれはボンクラだった」
と断言する。

 はあ。

「頭はいいのに、やる気がなかった。

 昔から、三代目が会社を潰すというが、三代目でもないのに、今にも潰しそうだった。

 クーデターが起きて当然だ。

 みんな生活がかかってるんだからな。
 あいつは道楽で仕事やってたのかもしれないが」