ケダモノ、148円ナリ

「貴継さんのお父様が勧めてくださったものですし」
と言うと、

「そうか。
 じゃあ、お前はそれを婚約指輪だと思ってつけてるわけだな」
と言われてしまう。

「い、いえっ。
 そういうわけではないんですけどっ。

 実は、可愛いので、結構気に入っています。

 だから、安いからといって、これではいけないと言うのはおかしいかと」

 そう言うと、貴継は笑った。

 でも、ちょっと嬉しかった。

 安い指輪では、両親に対して申し訳ないと言ってくれたことが。

 きちんと親のことまで考えてくれている気がしたからだ。

 ……だからと言って、このまま貴継と結婚したいというわけではないのだが。

「本当に可愛いな、明日実は。
 よく今まで売れ残っててくれたな」

 そう微笑みかけてくる貴継に、
「あの……そういう言われ方はちょっと不愉快なんですが」
と訴える。

「それを言うなら、貴継さんは、何故、今までおひとりだったんですか?

 あ、誰かお相手がいらっしゃったんですか?」

「お相手がいらっしゃったのに、お前にこんなことしてたら、大問題だろう」