ケダモノ、148円ナリ

 棚を指差し、
「1/12スケールのカウンタックがあるじゃないかっ」
と言ってくる。

 一人暮らし向けの料理の本と編み物の本の横に、真っ赤なランボルギーニ カウンタックが鎮座している。

 3Dスキャナーで実車を測定して作られた精巧なものだ。

「あれは私のです」

「お前……、車に興味ないんじゃなかったのか?」

 疑わしげに見て貴継は訊いてくる。

 明日実は棚に行き、カウンタックを手に取り、言った。

「カウンタックは車ではありません。
 芸術です。

 ちなみに、カウンタックのこのドアは、ガルウィングではありません」
と指先で、ドアを上に跳ね上げてみせる。

「ガルウィングというのは真上に跳ね上がるドアのことで、斜めに上がるこのカウンタックのドアは……」

「わかった。
 次はカウンタックを買おう」
と長くなりそうな話を遮り、貴継は言った。

「……そのお金でマンションでも買われたらどうですか?」