ケダモノ、148円ナリ

 その方が吹っ切れるだろうに。

 明日実は顕人の告白を断ると思う。

 いつの間にか婚約者とやらが居たせいではない。

 自分で気づいているかは知らないが、あの子は最初から、顕人を兄のようにしか見てはいなかったから。

 携帯を何度から鳴らすと、明日実が出た。

「あ、明日……」

 実、まで言葉は出なかった。

『本当ですってばっ。
 電話ですってばっ。

 離してください。
 警察を呼びますよーっ』

 ……なにをやってるんだ、この子は、と思いながら面白いので聞いていると、明日実が、
『あっ、鏡花さん、なんですかっ?
 すみませんっ。

 ちょっと後ろにケダモノがっ』

 ……ケダモノ。
 夕べのあれか、と思う。

 確かに、なにかこう、ケダモノっぽい。
 理屈が通じなさそうというか、本能だけで突っ込んできそうというか。