ケダモノ、148円ナリ

 




 まあ、今のところ大丈夫かな。

 顕人を見送ったあと、鏡花は携帯を手にする。

 夫も子どもたちについて行ってしまった。

 昨日は、明日実の婚約者とやらと話しただけで終わってしまったから、一応、明日実本人にも少し警告しておかねば、と思っていた。

 何故、顕人が、明日実になにも言わなかったのか知らない。

 ずっと明日実が好きだったくせに、何故、自分と付き合っていたのかも知らない。

 結局、自分が勝手に見合いして結婚してしまったことで、顕人とは終わってしまったが。

 あのとき、彼はちょっとほっとしていたように見えた。

 最初は勢いでしてしまった結婚でも、上手く転がることもあるのよ、顕人。

 早まらないでよ、と思う。

 なにか今の顕人は危なっかしい感じがして、しょうがない。

 特に、明日実を思い切ったつもりになっているのが、よろしくないと思っていた。

 いっそ、告白してみればいいのに。

 明日実は、バッサリ振ってくれることだろう。