ケダモノ、148円ナリ

 




 明日実が貴継と買い物に行き、家具屋で、
「新婚なので、キングサイズのベッドを探している」
と言い張る貴継を必死で止めている頃、顕人は、従姉の鏡花に呼ばれ、彼女の家に食事に行っていた。

「今日はゆっくりして行きなさいよー。
 引っ越しの準備も一段落してるんでしょー」
とキッチンから鏡花が言ってくる。

「ああ」
と言いながら、此処に居ても、ゆっくりはならないような、と苦笑いしていた。

 鏡花の子どもたちが背中に頭にと駆け上って、遊ぼう遊ぼうと責めてくるからだ。

 だが、心地の良い煩わしさだった。

 こういう家庭が作りたかったな、と思う。

 子どもを育てるのに良さそうな、落ち着いた和風モダンの家。

 日当りのいい片付いたキッチンに鏡花が居る。

 その姿に、明日実を重ねていた。

 明日実とこんな家で、こんな風に暮らせたら。

 ……まあ、兄妹でも一緒に暮らせなくもないが、それは、自分が望んでいる家族の形態とはちょっと違うから。