明日実が貴継と買い物に行き、家具屋で、
「新婚なので、キングサイズのベッドを探している」
と言い張る貴継を必死で止めている頃、顕人は、従姉の鏡花に呼ばれ、彼女の家に食事に行っていた。
「今日はゆっくりして行きなさいよー。
引っ越しの準備も一段落してるんでしょー」
とキッチンから鏡花が言ってくる。
「ああ」
と言いながら、此処に居ても、ゆっくりはならないような、と苦笑いしていた。
鏡花の子どもたちが背中に頭にと駆け上って、遊ぼう遊ぼうと責めてくるからだ。
だが、心地の良い煩わしさだった。
こういう家庭が作りたかったな、と思う。
子どもを育てるのに良さそうな、落ち着いた和風モダンの家。
日当りのいい片付いたキッチンに鏡花が居る。
その姿に、明日実を重ねていた。
明日実とこんな家で、こんな風に暮らせたら。
……まあ、兄妹でも一緒に暮らせなくもないが、それは、自分が望んでいる家族の形態とはちょっと違うから。



