ケダモノ、148円ナリ

 ひっ、と逃げかけると、
「冗談だ。
 昨日買ったバーナーだ。

 料理に使おうと思って買って来た」
と火をつけて見せる。

「さては、なんでも道具から入る人ですね。
 自分の家持たないのに、荷物増やさないでくださいよ」
と言うと、

「まあ、此処を出て行くとき処分するさ」
と言い出したので、どきりとしてしまう。

 出て行って欲しいと願っていたはずなのに。

「……出て行くんですか?」
と問うと、

「行くとも。
 お前と一緒に」
とクレームブリュレとか炙りサーモンとか作るのに良さそうなバーナーを手に、貴継は言う。

 は?

「お前と結婚するとき、家を建てることにした」

「あのー、家は持たないというポリシーをお持ちなんじゃなかったんですか?」

「だから、俺の願いが叶ったとき、お前と所帯を持って、家も持つことにした」

「所帯って、古臭い言い方ですね」
とぽろりと言ってしまうと、貴継は、ソファの後ろに居た明日実の手をつかみ、

「じゃあ、もっと熱烈にプロポーズしてやろうか」
 今すぐに、と言い出す。