「なかなかインテリアもいいが、揃えたの、お前じゃないだろう」
部屋に入った瞬間、貴継はそんなことを言ってきた。
特に反撃はしなかったが。
この階のベランダから突き落としたら……
まあ、死ぬだろうな。
やめとこう。
というようなことを明日実は、ひとり静かに考えていた。
「此処は、もともとは従姉の鏡花(きょうか)さんが住んでらしたんです。
一時期は、顕人おにいさまも」
「親戚中で使いまわしてんのか? この部屋」
と言ったあとで、
「待て」
と貴継は言ってくる。
「じゃあ、稲本顕人はこの部屋の鍵を持ってるんじゃないのか?」
「そうかもしれませんね。
鍵は私が貰いましたが、スペアキーはお持ちかもしれません」
「危ないじゃないか。
鍵は変えておけ」
いや、今、貴方以上に危ない人はとりあえず居ないと思うんですが……、と思っていると、飾り棚を見た貴継が、
「この部屋、顕人が荷物を置いたままなのか?」
と訊いてくる。
「いいえ。
どうしてですか?」



