ケダモノ、148円ナリ





「なかなかインテリアもいいが、揃えたの、お前じゃないだろう」

 部屋に入った瞬間、貴継はそんなことを言ってきた。

 特に反撃はしなかったが。

 この階のベランダから突き落としたら……

 まあ、死ぬだろうな。

 やめとこう。

 というようなことを明日実は、ひとり静かに考えていた。

「此処は、もともとは従姉の鏡花(きょうか)さんが住んでらしたんです。
 一時期は、顕人おにいさまも」

「親戚中で使いまわしてんのか? この部屋」
と言ったあとで、

「待て」
と貴継は言ってくる。

「じゃあ、稲本顕人はこの部屋の鍵を持ってるんじゃないのか?」

「そうかもしれませんね。
 鍵は私が貰いましたが、スペアキーはお持ちかもしれません」

「危ないじゃないか。
 鍵は変えておけ」

 いや、今、貴方以上に危ない人はとりあえず居ないと思うんですが……、と思っていると、飾り棚を見た貴継が、
「この部屋、顕人が荷物を置いたままなのか?」
と訊いてくる。

「いいえ。
 どうしてですか?」