ケダモノ、148円ナリ

 



「ほう。
 立派なマンションだな」

 車を止めて、マンションの前に立った貴継が言う。

「は。
 お褒めいただきありがとうございます」

「よし、行くぞ」

 本気ですか。
 本当に此処に住むつもりなんですか?

 女の方に追い出されて家がないというのが本当なら、明日にでも、何処か用意させますからっ、と思いながら、今は逆らっても無駄そうなので、とぼとぼとついていく。

 エレベーターには誰も乗ってこず、なんとなく、防犯カメラと緊急ブザーを確認してしまう。

 貴継は目線を追ったらしく、なに見てんだ? という顔をしていた。

「別に働かなくてもいいんじゃないか? お嬢様」

 貴継は、ふいにそんなことを言ってきた。

「別にお嬢様じゃないです。

 それに、そういうわけにはいきません。
 私も独り立ちしなければ」
と明日実は拳を作る。

 ほう、そうか、とどうでも良さそうに言われているうちに、部屋に着いた。