そりゃ、座敷牢があるくらいですからね、と思った。
「あの家なら、実は誰かこの世ならざるものが住んでいるって言われても驚かないですよ」
そんなことを言っているうちに、貴継は、ランプに火を灯し、ひとつは今居るリビングに。
ひとつはドアを開けた明日実の部屋に。
ひとつはやはりドアを開けた自分の部屋に置いていた。
「よーし、明日実。
灯りを消せ」
「なんかやけに生き生きしてますね」
と言いながら、リビングの電気を消し、出来るだけ、ランプの灯りに寄っていく。
まるで蛾みたいだな、と自分で思いながら。
「よし。
じゃあ、俺の怖い話をしよう。
……待て。
話す前から耳を押さえるな」
と明日実の両手首をつかみ、耳から引き離す。
そのままの体勢で話し出した。
「今日行ったうちの屋敷だが――」
「あっ、あの家の話はやめてくださいっ」
と言うと、なんでだ? と言う。
「リアルに出そうだからです」
「いや、だから出るぞ」
当たり前だろ、という顔で貴継は言い出した。
「あの家なら、実は誰かこの世ならざるものが住んでいるって言われても驚かないですよ」
そんなことを言っているうちに、貴継は、ランプに火を灯し、ひとつは今居るリビングに。
ひとつはドアを開けた明日実の部屋に。
ひとつはやはりドアを開けた自分の部屋に置いていた。
「よーし、明日実。
灯りを消せ」
「なんかやけに生き生きしてますね」
と言いながら、リビングの電気を消し、出来るだけ、ランプの灯りに寄っていく。
まるで蛾みたいだな、と自分で思いながら。
「よし。
じゃあ、俺の怖い話をしよう。
……待て。
話す前から耳を押さえるな」
と明日実の両手首をつかみ、耳から引き離す。
そのままの体勢で話し出した。
「今日行ったうちの屋敷だが――」
「あっ、あの家の話はやめてくださいっ」
と言うと、なんでだ? と言う。
「リアルに出そうだからです」
「いや、だから出るぞ」
当たり前だろ、という顔で貴継は言い出した。