ケダモノ、148円ナリ

 ひょいと横から覗くと、それは、顕人からの着信だった。

 貴継が勝手に、ただいま、電話に出られませんにしてしまう。

「待ってください。
 おにいさまは出ないと何度でもかけてこられますっ」

「ストーカーかっ」

 メッセージは流れているが、幸いまだ電話は切れていなかった。

「もっ、もしもしおにいさまっ。
 すみませんっ」
と慌てて明日実は携帯に出た。

「ちょっと手が滑って。

 はい。

 ……はい、元気です」
と言っている明日実をひょいと抱え、貴継は自分の膝に座らせる。

「きゃっ」

 もう~、と睨みながら、
「すみません。
 なんでもないですっ。

 よろめいちゃって」
と言うと、電話の向こうの顕人は、明日実は相変わらずだなあ、と言って笑っていた。

 うう。
 また、おにいさまに嘘をついてしまった、と思いながら、少し話したあとで、
「おにいさま。
 今、外なので。

 はい。
 そうですね。
 ご出発までに、またぜひ」
と早々に話を閉めて、電話を切る。

 貴継が不満げに言ってきた。

「何故、婚約者といちゃついてるので出られませんと言わん」