ケダモノ、148円ナリ

 もっとも阿呆なことをやっているのは、貴方ですが、と思ったのだが、さすがに今、言うべきタイミングではない気がして、黙っていた。

「俺はこの家にこだわったが、他の家族はみんな前を向いて歩いていった。

 だが……」

 明日実、と貴継は明日実の手を取る。

「お前に会って気づいたよ。
 こだわるべきは、家ではなく、家族だったと。

 俺の家族はお前だ。

 俺の家はもう此処じゃない。
 お前の家だ」

 い、いや、それもどうなんでしょうね、と明日実は手を握られたまま、視線をそらす。

「お前の居るところが俺の家だ。
 お前とお前が産んだ俺の子どもの居るところが」

「いやいやいや。
 だから、まだ、妊娠してませんからっ」

 慌てて手を振りながら、
 ああっ。
 また、まだって言っちゃった、と思っていると、貴継は、
「俺にはお前の未来がわかるぞ。
 お前は俺と結婚し、俺の子供を産むだろうっ!

 ……そうだな。
 2、3人っ!」
と明日実のお腹を指差し言ってくる。

 大予言っ!?

 しかし、迫力のわりには、内容が曖昧だが。

 なんだ。
 2、3人って……。